フランスのラグジュアリー・ブランドのエルメス社は、戦後間もなく、スミス社へその生産を依頼してロンドン市場向けの腕時計を1950年代まで販売していました。1960年代になると、その生産をスイスへと移し、やはりロンドン市場向けの腕時計を販売していました。その中のひとつが、この金メッキケース、センターセコンドのエルメスです。金メッキケースはスクリュー式の2ピースのステンレス・スチール製の裏蓋とからなる3ピース構造です。ラグ周りのデザインが特徴的で、ベルトの一部に被さる形状はアールデコ調で、HERMESのロゴと共に気品を感じさせるデザインと言えるでしょう。文字盤はスミス・アストラルにありそうなパール調の盤面とインデックス、そしてレッドアローの秒針がアクセントになっています。ムーブメントは17石のハイクウォリティー・キャリバーが搭載されており、精度、信頼性共に申し分ない製品です。外径:34.5mm。
コンディションはケースの使用キズやメッキの擦れ、文字盤のエイジングなど見られますが、全体的には自然な使用感の大切に使用されていた個体であったと考えられます。また、ムーブメントも整備が行き届いており極めて良い精度を示します。レンズ及びベルトは新品に交換されていますが、他はフルオリジナルと思われる極めて貴重な個体です。エルメスのヴィンテージ・ウォッチはケースの再メッキや文字盤のリダン、そして、ムーブメントの載せ替えなどが行われていることが多い中、オリジナリティーが高いこのアイテムは、腕時計のコレクターだけでなくエルメス・ファンにもお勧めです。
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