スミス社は戦後間もなくより1950年代にかけて、ベンソンやアスプリーそしてガラードなどのラグジュアリーブランドの時計の生産を依頼され、ムーブメントのみならず、文字盤などについてもその製作を担っていました。そのころフランスのラグジュアリー・ブランドのエルメス社の腕時計も製作しており、スミス社製のエルメス腕時計はロンドン市場のみで販売された極めてレアな製品でした。その基本デザインは同時期に生産されていた1215モデルと同じでしたが、ロゴがSMITHSからHERMESに代わるだけで、まるで全く別の時計であるかのようで、社名ロゴの個性と存在感の重要性との高さが分かります。いくつかの種類が存在したスミス・エルメスの中で、このモデルは、個性的なホーンラグと時針に着けられた円形のモチーフが特徴的で魅力的であると言えるでしょう。クロームメッキの3ピースケースは英国の名門デニソン社製で、ムーブメントには1215同様の15石スモセコ用キャリバーが搭載されています。外径:31.2mm。 |