「美しい表情を見せる放射線文字盤」 |
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一見すると、1950年代から60年代前期にかけてのアストラルとしてはスタンダードな雰囲気を持つアラビア数字とインデックスのデザインと言えますが、地盤には極めて繊細で複雑な放射線が彫り込まれています。
そのラジアル・ダイアルは、受ける光の種類により、様々な色彩と表情を作り出し、個性的で奥深い魅力のあるアストラルと言えます。 |
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「単なる放射線ではない複雑な
デザインに浮かぶレッドアロー」
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この放射線を彫り込んだように見える文字盤は、実は単なる放射線出ななく、幾何学的に興味深い図形であると言えます。
一般的な放射線とは、複数の線が交わったり分岐したりせず、角度を保ちながら伸びて行くものです。つまり、中心から遠ざかるほどに線と線との間隔は離れて行くのが普通です。しかし、この放射状に伸びた線同士の距離は、ほぼ一定を保っています。その理由は放射線が中心より伸びて行くに従い枝分かれして行くからなのです。
そして、この画像から、その線は浮彫であることが分かります。その浮彫の集積である立体的な盤面に浮かぶ、ふくよかなレッドアローの美しさは、まるで雲の上を飛ぶ赤い矢の様といえるでしょう。
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「ベゼル一体式のケースと薄いレンズが
魅力的なケースデザイン」 |
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一般的にセンターセコンドは、3針が重なるため、レンズの厚いハイドーム型を使用しなければ秒針がレンズに接触してしまいます。
しかし、このベゼル一体式のケースは、ベゼルに厚みを持たせ、その分、薄いロードーム型のレンズが装着されています。このことにより、文字盤がやや沈み込んだ独特な魅力的なデザインを実現しているのです。 |
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「独特な形状の裏蓋がもたらす、サイド・ビューのバランス」 |
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このアストラルにおける隠れた個性と言えるのが、独特な形状の裏蓋のデザインであると言えるでしょう。17石のセンター部分の厚みを巧みに包み込んだ形状と行ってしまえばそれまでですが、実は、この形は重要な役割を果たしています。
側面に目を向けていただくと、裏蓋のケースと接する部分が極限まで薄くなっているのがお分かりいただけるでしょう。ベゼルを厚く設計したことで、厚みが増したケース側面部分を薄く見せ、バランスをとっていると言う訳です。 |
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「1950年代のムーブメントに耐震機能を加え、
チラネジを排除したモダンな設計」 |
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基本は1950年代に生れたセンターセコンドの設計ではありますが、1960年代を迎え、各部に様々な先進機能を投入しています。
その代表的なものは、ショックプルーフ機構であると言えます。これにより万一の落下時にも、振り子の破損を最小限に抑えてくれます。
また、工作精度の向上により、振り子からチラネジをなくすことが可能となりました。このことは、安定した精度に繋がりました。 |
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「ラジアル・ダイアル・アストラルの計り知れない魅力」 |
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このアストラルの最大の個性であり、魅力は、ラジアル・ダイアルに尽きると言えます。しかし、実は、このアストラルには他にも様々なアイデアとデザインが盛り込まれています。
先にも紹介いたしました、独特な枝分かれして行く放射線や、ベゼルに沈み込んだ文字盤。そして特異な形状の裏蓋のデザインなどの他にも多数のエレメンツが積み重なり、計り知れない奥深い魅力を築き上げています。 |
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