スペック表
   
■モデル名 アストラル
■製造年式 1960年代
■製造国 英国
   
■ケース材質 金メッキ
■ケース構成 
2ピース
■ケース外径 33mm
   
■文字盤 ラジアル(放射状)
■針 センターセコンド
   
■ムーブメント 17石
■巻上方式 手巻
■チラネジ
■耐震機構
   
■ベルト材質 リザード型押し本革
■ベルト幅 16mm
   
■整備履歴 オーバーホール済
■保証期間 3年間(動作保証)



quality guarantee aftercare

1960年代英国スミス社製金メッキ アストラル17石(ラジアル・ダイアル)手巻腕時計
3年間保証付

SOLD


アストラルとは 】

デラックスと並ぶスミスの人気ラインナップのひとつです。ムーブメントはスモールセコンドの15石、センターセコンドの17石と高性能キャリバーが搭載されています。デザインはデラックスに比べ、モダンでシンプルな傾向で、当時のスミスとしては斬新で前衛的なモデルと言えます。現代の目で見るとそのデザインはスミスらしさに溢れた、いわばスミスが作り上げた古典的スタンダードと言えるでしょう。そのため、近年発売されているクラシカルなデザインの腕時計には、アストラルのデザイン・エッセンスが取り入れられている製品が多く見受けられます。

【 生産数の極めて少ないアストラルの放射線文字盤 】

スミスのラインナップの中でも、アストラルはシンプルでモダンなデザインで、スミスの個性を感じさせるシリーズです。しかし、このアストラルは、他とはだいぶ趣の異なるモデルであると言えるでしょう。水平線を文字盤に彫り込んだデザインは、デラックスやアストラルでもスタンダードであるといてますが、この放射線の文字盤のモデルは、唯一無二と言え、さらに生産数が極めて少ないため、稀少性の高いモデルであると言えます。ケースは金メッキの、やや厚みのある簡易的な防水ケースです。

  通常の防水ケースは、裏蓋がスクリュー式で、しっかりと締め込む方式が採用されていますが、このアストラルはパッキンこそ入っていますが、裏蓋はフリクションで固定する通常の裏蓋と変わりません。また、裏蓋の形状は、17石のムーブメントのセンター部の厚みをクリアするための極めて独特で個性的なデザインとなっています。そして、1960年代前期の中ではショックプルーフ機構が付属するなど進化した17石ムーブメントで、極めて良好な精度と耐久性とを発揮します。外径:33mm。

【 全体にの状態の良い貴重な個体 】

このアストラルは、全体的に使用頻度の極めて少なかった個体であると言えます。ケースには微細な表面的なキズが見られますが、とても美しい状態を保っています。また、文字盤には、キズや腐食、シミなどのエイジングが、ほとんど見られない新品に近い状態と言えます。そして、針についても表面的なクスミのみの極めて良好なコンディションを保っています。さらに、秒針のレッドアローも劣化は見られません。ムーブメントは、整備の行き届いた良い状態を保ち、さらに、ビッグベアーの消耗品の交換を含む、きめ細かなオーバーホールで工場出荷時の品質に仕上がっています。レンズと竜頭、そして、リザード型押し本革ベルトは新品が装着されていますが、他は1960年代のオリジナルです。









「美しい表情を見せる放射線文字盤」
 
一見すると、1950年代から60年代前期にかけてのアストラルとしてはスタンダードな雰囲気を持つアラビア数字とインデックスのデザインと言えますが、地盤には極めて繊細で複雑な放射線が彫り込まれています。

そのラジアル・ダイアルは、受ける光の種類により、様々な色彩と表情を作り出し、個性的で奥深い魅力のあるアストラルと言えます。
 

 
 
「単なる放射線ではない複雑な
デザインに浮かぶレッドアロー」
 
この放射線を彫り込んだように見える文字盤は、実は単なる放射線出ななく、幾何学的に興味深い図形であると言えます。

一般的な放射線とは、複数の線が交わったり分岐したりせず、角度を保ちながら伸びて行くものです。つまり、中心から遠ざかるほどに線と線との間隔は離れて行くのが普通です。しかし、この放射状に伸びた線同士の距離は、ほぼ一定を保っています。その理由は放射線が中心より伸びて行くに従い枝分かれして行くからなのです。

そして、この画像から、その線は浮彫であることが分かります。その浮彫の集積である立体的な盤面に浮かぶ、ふくよかなレッドアローの美しさは、まるで雲の上を飛ぶ赤い矢の様といえるでしょう。
 
「ベゼル一体式のケースと薄いレンズが
魅力的なケースデザイン」
 
一般的にセンターセコンドは、3針が重なるため、レンズの厚いハイドーム型を使用しなければ秒針がレンズに接触してしまいます。

しかし、このベゼル一体式のケースは、ベゼルに厚みを持たせ、その分、薄いロードーム型のレンズが装着されています。このことにより、文字盤がやや沈み込んだ独特な魅力的なデザインを実現しているのです。
 
 
 
「独特な形状の裏蓋がもたらす、サイド・ビューのバランス」
 
このアストラルにおける隠れた個性と言えるのが、独特な形状の裏蓋のデザインであると言えるでしょう。17石のセンター部分の厚みを巧みに包み込んだ形状と行ってしまえばそれまでですが、実は、この形は重要な役割を果たしています。

側面に目を向けていただくと、裏蓋のケースと接する部分が極限まで薄くなっているのがお分かりいただけるでしょう。ベゼルを厚く設計したことで、厚みが増したケース側面部分を薄く見せ、バランスをとっていると言う訳です。
 
「1950年代のムーブメントに耐震機能を加え、
チラネジを排除したモダンな設計」
 
基本は1950年代に生れたセンターセコンドの設計ではありますが、1960年代を迎え、各部に様々な先進機能を投入しています。

その代表的なものは、ショックプルーフ機構であると言えます。これにより万一の落下時にも、振り子の破損を最小限に抑えてくれます。

また、工作精度の向上により、振り子からチラネジをなくすことが可能となりました。このことは、安定した精度に繋がりました。
 
 
 
「ラジアル・ダイアル・アストラルの計り知れない魅力」
 
このアストラルの最大の個性であり、魅力は、ラジアル・ダイアルに尽きると言えます。しかし、実は、このアストラルには他にも様々なアイデアとデザインが盛り込まれています。

先にも紹介いたしました、独特な枝分かれして行く放射線や、ベゼルに沈み込んだ文字盤。そして特異な形状の裏蓋のデザインなどの他にも多数のエレメンツが積み重なり、計り知れない奥深い魅力を築き上げています。