「エベレストを制した防水ケースのデラックス」





それは、今から約70年ほど前のこと。

1953年5月29日11時30分、英国の登山隊員のエドモンド・ヒラリー卿がエベレストに
初登頂した際に、彼の腕には、当時発売したばかりのスミス・デラックスが完璧に動作していました。

過酷な環境下での、デラックスの高性能を世に知らしめた当時の記事に掲載されたデラックスは、
正に防水ケース仕様の、右の写真のデラックスでした。












エドモンド・ヒラリー卿はオーストラリア人でしたが、英国の登山隊に属しており、
エベレスト登頂時に、スミス社は防水ケースのデラックスを託していたのです。








「分解することで分かる防水ケースの価値」





エベレストの頂上という過酷な環境で、スミス・デラックスが完璧に動作していたのは、
当時、開発されたばかりの、高性能な防水ケースの恩恵に他なりません。

そのことは、使用頻度が極めて少なかった、この同じモデルの内部の各パーツが
約70年間の時を経ても、ここまで美しい状態を保っていたことにも貢献しているのです。

さらに、この防水ケースの裏蓋は気密性を高めるためにスクリュー式を採用しており、
ケース本体にもネジを切らなくてはならず、必然的に肉厚となり、
通常のデラックスにはない強靭で美しいふくよかなデザインを、
機能が礎となり実現していました。










つまり、このデュオトーン文字盤のデラックス・モデルは、長い歴史を持つ、
デュオトーン文字盤デラックスの中においても、最もヘビーデューティーかつエレガントな、
フラッグシップ・モデルに相応しいデラックスに仕上がっていたという訳です。

スミス社は、ヒラリー卿と共にエベレストを制したデラックスの栄誉を讃え、
後にスミスのフラッグシップ・シリーズとして「エベレスト・シリーズ」を発売しています。