この懐中時計は、スミス社が時計の製造を始めたといわれている1880年に生産されたモデルです。ゼンマイは竜頭ではなく付属のキーで巻き上げます。また、時刻設定はベゼルを開けて、針の軸をキーを使って回して合わせるという、現代では考えられない方法で行います。銀無垢ケースは英国製、ムーブメントはスイス製でした。 |
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1890年代はスミス社の黄金期と呼ばれ金、銀無垢ケースにスーパー・クウォリティーのムーブメントを搭載し、手描きの繊細なセラミック・ダイアルを纏った最高級懐中時計が多数リリースされました。すべての部品はこの上無い最高の素材で作られていました。しかし、そのほとんどは、スイスのロンジン社で生産されていました。 |
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腕時計がこの世に出回り始めたのは1900年代ですが、すでに、スミス社の1890年のカタログには夫人用ブレスレット時計が掲載されており、腕時計が普及する気配を予見していたかのように思われます。腕時計は懐中時計にワイヤーのラグをコンバージョンしてストラップを通して使うようになったのが始めでした。 |
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1930年代の終わりに、スミス社は自社製のムーブメントを搭載した、ハイクウォリティー腕時計の開発のため、スイスのジャガールクルト社の凄腕技術者ロバート・レノア氏迎え入れて100%英国製のムーブメントをスミス社で生産することに成功しました。そして、戦後、新たなスミス社の時代が幕開けとなりました。 |
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