【1215とは 】
戦後、ジャガールクルトの技術者であるロバート・レノア氏を招き入れ、スイスの技術を注ぎ込んだ、である1215。シンプルで地味な印象のある存在ながら、質実剛健なスミスらしい個性に満ち溢れた最もスミスらしいモデルであると言えます。
※厳密には、スミス社製戦後初の英国生産モデルは、1215シリーズ以前のRGシリーズとなりますが、その特徴は1215と、ほぼ同じであり、スミス社が1951年以降に生産されたモデルを単に1215と呼び始めたため、RGと1215を総称して1215とするのが一般的です。RGの名称は1951年以降4桁の数字と共に品番として残されています。
【モデルについて: 耐久性の問題のない後期モデル 】
1215は、竜頭系統のギアの軸に耐久性の問題を抱えているとされていますが、このモデルは、後期モデルであるため、デラックスと同等の耐久性が備わっており、気を使うことなく日常使用が可能です。
■ケースについて
ケースは、最も1215らしいとされている、ホーン・ラグの3ピース・ケースが使用されています。
ラグのデザインは、このモデルの個性のひとつと言え、1940年代の流行を取り入れた、趣ある雰囲気の魅力的なシェイプです。外径:31.3mm。
■文字盤について
文字盤はアルミ製で表面にはヘアライン加工が施され、スモセコ文字盤は、切削加工により、一段掘り下げられています。
またアラビア数字のインデックスやSMITHSのロゴなどは、全てブラックのペイントでプリントされています。
■ムーブメントについて
メカニズムはスモールセコンド専用設計の15石ムーブメントが搭載され、1215の中では、最も熟成された、精度、耐久性共に1950年代当時の水準と致しましては、とても優れています。
また、フロステッド・ギルト加工のムーブメントは、繊細なざらつきのある上質なサーフェイスが魅力です。
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【 コンディション:正しく使われた道具としての佇まい 】
■ケースについて
3ピースのクローム・メッキ・ケースは、各ラグ部分に使い込まれたことによる、メッキの擦れが見られ、ベースである真鍮が薄っすらと現れることで、ヴィンテージ・ウォッチらしいクールな表情が極めて魅力的です。
また、竜頭は新品が装着されていますので、これから、さらに使い込むことでエイジングをお楽しみいただけます。
■文字盤について
文字盤は、経年によるエイジングが程良く表れ、ケースとのバランスの良さは、正しく使い込まれた道具としての美しい佇まいであると言えます。
また、青焼針にも、微かなエイジングが見られますが、光を受けた時の美しいメタリックブルーは1215としては、最上級の輝きを見せています。
■ムーブメントについて
1215のムーブメントは、年式により竜頭系のギアの軸に耐久性の問題を抱えており、使用期間が5年を越えるとギアの回転にガタつきが出始め、使用を続けると、そのギアだけではなく、前後のギアにまで偏摩耗が生じてきます。
この個体の場合は、対策された年式ですので、その心配はなく日常的に安心してご使用いただけます。さらに、ビッグベアーにて、新品部品を使用した徹底的なオーバーホールを行い、工場出荷時の精度と、それ以上の信頼性を手に入れています。ドイツ製レンズ及び、リザード型押しの本革ベルトは、新品が装着されています。
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